金沢大学の過去問から見る英語の対策と勉強法

ここでは、金沢大学英語の対策と具体的な勉強法を解説します。
金沢大学の英語の特徴
出題形式
【~2015年度】
大問数 | 試験時間 | 出題傾向 |
4 | 90 | 読解2問、英作文2問 |
【2016年度】
大問数 | 試験時間 | 出題内容 |
3 | 90 | 読解2問、英作文1問 |
2016年度入試は、2015年度以前と比べ大きな傾向変化がありました。
大まかな変更点は以下の通りです。
- 設問がすべて英文に変化
- 英文和訳を含めた日本語で答える問題が消滅し、英文で答える問題が大幅に増加
- 文章に対する正誤問題の追加
- 設問数の減少
- 記述量の増加
- イラストと指示に基づいた英文作成の追加
出題形式が2015年度までの傾向から大きくかけ離れ、英問英答が基本となりました。
設問数は減っているものの、読解2問の文章量は大幅に増加しています。
(減った設問は大問3の会話文)
今までの形式に慣れ親しんでいた受験生にとって、非常に解き辛い問題だったのは間違いないでしょう。
その一方で、「例年と比べ、比較的読みやすい文章だった」という声も数多く挙がっています。
金沢大学の特徴でもある”読みやすい英文”は、2016年度も健在だったようです。
特定の私大英語対策を並行していた受験生にとっては、解きやすく感じたかもしれません。
いずれにせよ、英文記述の力が求められる傾向に変化しています。
100%とは言い切れませんが、今後もこの形式が主になる可能性は高いでしょう。
金沢大学英語の対策
記述力の養成
まっさきに行うべきは、記述力の養成です。
それも、苦手な人が多いとされる”英文記述”を中心に行う必要が出てきました。
記述力の養成には大きく分けて、
- 英作文
- 読解問題演習
の2パターンの学習があります。
それぞれ毛色の違う対策をしなければならないので、意識的に2つの学習スタイルを使い分けていきましょう。
作成した解答の添削は、必ず英語の先生に厳しくチェックしてもらってください。
『読みやすい英文&圧倒的記述量』の特徴を利用する
金沢大学の英語は、記述すべき分量が圧倒的に多いです。
しかも2016年度の傾向変化に伴って、その量はさらに増加しました。
この状況で、もう一つの特徴である”読みやすい英文”を活かさない手はありません。
正確かつ迅速に英文を読む”速読力”を身に付け、その分を記述に回せるよう工夫していきましょう。
具体的な勉強法
全体像
センター英語対策で基礎力養成
記述量の多さは目立ちますが、金大英語は全体的に標準レベルで構成されています。
基礎的な部分さえ固まっていれば、特別難しいことをする必要はありません。
逆に基礎的なレベルが抜け落ちていると、まともな対策ができずに終わってしまいます。
基礎に関しては、センター英語の対策をしっかり行うことで定着させることができます。
金大対策に直結してくるので、最初にセンター英語から確実に固めておきましょう。
センター英語対策はこちら↓
[clink url=”http://studybank.jp/centereigo/”]
単語補充
読みやすい文章とはいえ、一定量の語彙レベルは必要になってきます。
センター単語を覚えるのは当然ですが、2次試験の頻出単語にも手を出して、不足している単語知識を補充しておかねばなりません。
単語補充には『システム英単語』をオススメします。
システム英単語を使う場合、1~3章と5章(多義語)を丸暗記しておきましょう。
自由英作文の演習
自由英作文では、超がつくほどの基礎からスタートすることを推奨します。
まずは『中学レベルの英文が、瞬時に自在につくれるようになる』というレベルを目指してください。
センター英語の実力はあっても、英作文の力は思っているよりも身についていません。
- 最初の授業は何時に始まりますか?
- あなたは年寄りたちに親切にしなければなりません。
- 先生は速く話しすぎて、生徒たちは理解できなかった。
などの中学レベルの英文が瞬時に作成できなければ、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』からスタートしていきましょう。
中学レベルの英文作成力が身についたら、より高度な例文暗記に入ります。
ここでのオススメは『ドラゴン・イングリッシュ基本英文100』。
100個の例文を、”日本語を見ただけで反射的に英文が書けるレベル”まで覚え込んでください。
以上を終えたら、『大学入試英作文ハイパートレーニング 自由英作文編』を使って、実戦演習を行なっていきます。
英問英答中心の読解問題演習
金大英語には読解問題もあります。というか読解問題がメインです。
2015年度までは、日本語の設問に対して日本語で解答する形式が主でしたが、2016年度以降は、英語の設問に対し英文で解答する”英問英答”が中心になりそうです。
そのため読解問題の演習は、英問英答形式の対策に重点を置いていきましょう。
読解対策の最初に、長文問題全般にいえる解法パターンを一通り身につけてください。
解法パターン定着には『大学入試 関正生の英語長文プラチナルール』がオススメです。
解法パターンが一通り身についたら実践演習に移ります。
オススメは『金沢大学の赤本』と言いたいところですが、英問英答中心の新傾向問題はほとんど収録されていません。
英問英答傾向を予測して、『レベルが近い他大学の赤本』や『英語長文レベル別問題集』などを使い、確実に対策していくようにしましょう。
速読練習
『読みやすい英文&圧倒的記述量』の特徴を最大限に活かすため、”速読力”の養成も同時並行で行っていきましょう。
速読力アップには”音読”とCDを使った”シャドーイング”が効果的です。
基本は上述の実戦演習で用いた英文を使えばOKです。
ただしCDがない場合が多いので、シャドーイングを中心に行いたい場合は『速読英熟語』を使っていくといいでしょう。
教材の使い方
システム英単語
【使い方】
『システム英単語 Basic』ではなく、『システム英単語』の方です。
センター対策が終わっていれば、1~2章の単語はほとんど身についているはずなので、3章と5章を中心に暗記していきましょう。
オススメの暗記方法は、いわゆる『サーキット法』です。
【サーキット法のやり方】
1日目 1~50番の英単語・日本語訳を、発音しながら目を通す。
英単語だけを見て、1秒で日本語訳を言えるまで(STUDYBANKでは1秒和訳と呼びます)”すべて”繰り返してください。
↓
2日目 1~100番の英単語・日本語訳を、発音しながら目を通す。
1秒和訳で”すべて”繰り返してください。
↓
3日目 1~150番の英単語・日本語訳を、発音しながら目を通す。
1秒和訳で”すべて”繰り返してください。
↓
以下、500番まで同じことを繰り返す。
↓
501~550番の英単語・日本語訳を、発音しながら目を通す。
1秒和訳で”すべて”繰り返してください。
↓
以下、500単語1セットとして繰り返して進めていく
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
【使い方】
見開き1ページに、日本語文(左ページ)とその英文(右ページ)が掲載されています。
日本語文だけを見て、瞬時に英文が作成できるようになりましょう。
まず1周目は、”瞬時に英文作成できる文”と”時間がかかるor英文作成できない文”を仕分けしてください。
1周目の時点で瞬時に作成できる英文があれば、黒マジックなどを使って、該当する日本語文を消しておくと学習がラクになります。
2周目以降は、
日本語を見る → 日本語だけを見て英文を音読する(できれば) → 英文を見て音読する → 日本語を見て”英文”を音読する → 次の文へ
のサイクルをこなしていきましょう。
最初から最後まで(計790文)、一気に”日本語だけを見て英文を音読する”ことができるようになれば完成です。
ドラゴン・イングリッシュ基本英文100
【使い方】
『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』より、複雑かつ応用の効く例文が100個収録されています。
見開き1ページに、日本語文ひとつ(左ページ)と英文ひとつ(右ページ)という構成ですが、使い方は『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』と同様です。
日本語を見る → 日本語だけを見て英文を音読する(できれば) → 英文を見て音読する → 日本語を見て”英文”を音読する → 次の文へ
のサイクルでこなしていき、最初から最後まで一気に読み進められるようにしましょう。
大学入試英作文ハイパートレーニング 自由英作文編
【使い方】
『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』、『ドラゴン・イングリッシュ基本例文100』で身につけた知識を、実践形式でアウトプットしていきます。
特別な使い方はありませんが、各問題で作成した解答は、必ず英語の先生に添削してもらいましょう。
関正生の英語長文プラチナルール
【使い方】
赤本などの演習に入る前に、これを使って長文問題の解法パターンを身につけます。
少し変わったページ構成をしており、若干使いにくさを感じると思うので、以下を参考にして使用してください。
Chapter1のLessonを、時間制限を設けて解く
→解き終わったら、Chapter2or3の同Lessonの問題文に、SVCOなどの英文構造を記入しながら全訳する(この時点で解説はまだ見ないこと)
→英文構造記入・全訳が終わったら、直後にある解答・解説を読み込む
→全訳の確認をする
→Chapter1のLessonに戻り、音読・黙読和訳する(英文構造が記入されていない英文を使って)
→Chapter1の次のLessonへ
解説にある”プラチナルール”は確実に覚えましょう。
全体的にかなり重厚な解説となっているので、一つ一つかなり深いところまで理解できます。
1周目が終わったら、音読&黙読和訳で英文を3~4周ほど読み込んでください。
その際、「どんな”プラチナルール”があったか」や、「どんなテクニックを使っているか」なども意識しておきましょう。
赤本
【使い方】
言わずと知れた『赤本』です。
「記述対策は赤本一冊で十分だ」と言われるくらいですが、最近の金大英語に関しては対象外。
英問英答の傾向変化に対応しきれていないので、金大過去問に頼りすぎるのはNGです。
とはいえ、入試傾向や形式の分析が事細かに掲載されており、最新版の過去問(傾向変化したもの)も載っているので、一切使わないということはありません。
また、2015年度以前(傾向変化以前)の長文自体は、”金大レベル”のものになっています。
英問英答ではありませんが、英文で答える問題も毎年出題されているので、必要な部分だけを抽出して使っていくと良いでしょう。
※英問英答傾向がいつ終わるかも分かりません。念のため、2015年度以前の問題も一通り解いておくことをオススメします。
なお、金大赤本の代わりには、以下の大学の赤本を適宜使っていくと良いでしょう。
【英問英答用】
- 旭川医科大学
- 琉球大学
【イラスト英作文用】
- 東京大学
英語長文レベル別問題集
【使い方】
時間に余裕があれば、『英語長文レベル別問題集』にも手を出しておきましょう。
レベルに応じて6冊の問題集がありますが、金沢大学レベルであれば『レベル4中級編』、『レベル5上級編』の2冊で十分です。
特別な使い方はありません。
普通の問題集として使用し、作成した解答は必ず英語の先生に添削してもらってください。
速読英熟語
【使い方】
音読・シャドーイング用として使います。
※シャドーイングには、別途CDを購入する必要あり。
まず最初に、全英文の”和訳”に目を通しておきましょう。
音読・シャドーイングは、英文の和訳が理解できている状態で行なっていきます。
本格的に使っていくのはそれからです。
毎日30分間、ひたすら音読・シャドーイングを行ってください。
早い人で2ヵ月、遅い人で7ヵ月くらい継続することで「英語が読めるようになった」と実感できます。(STUDYBANK調べ)
こればかりは大きな個人差があるので、できる限り早い段階から速読・シャドーイングの習慣は身につけておきましょう。